MonaLisa Twinsといえばエキサイティングなライブパフォーマンスが魅力ですが、ライブ会場はリバプールのキャバーン・クラブ(The Cavern Club)をメインにしているようです。キャバーン・クラブはビートルズが世界的にデビューする前に出演していたクラブとして有名な所です。ここでMonaLisaが演奏する曲の中でチャック・ベリーの"Johnny B. Goode"がありますが、1958年にシングルとして発売された曲です。チャック・ベリーはロックンロールの創始者と云われるミュージシャンで、ビートルズにも多大な影響を与えた人物です。ビートルズはアルバム『フォー・セール』の中でチャック・ベリーの代表曲である「ロック・アンド・ロール・ミュージック(Rock and Roll Music)」をカバー曲として演奏しています。リードボーカルはチャック・ベリーを敬愛するジョン・レノンでした。また、『ウィズ・ザ・ビートルズ』のB面1曲目に収録された「ロール・オーバー・ベートーヴェン(Roll Over Beethoven)」も同じくチャック・ベリーの代表曲でビートルズのカバーではジョージ・ハリスンがリードボーカルをとっています。
MonaLisa Twinsの演奏する「ジョニー・B.グッド」では二人のボーカルもご機嫌なのですが、Lisaのギター演奏のテクニックには感心させられます。
ここでまたウィーンでの最初のライブから渋い曲を取り上げたいと思います。ビル・ウィザースが1971年に発表した楽曲"エイント・ノー・サンシャイン"です。ワグナー家4人の演奏ですが、ベースギターがLisaちゃんになり、ルドルフお父さんはキーボード、ミカエラお母さんとMonaちゃんは変わらずサックスとドラムですが、I know I know I know ……というリフレインが何か普通ではない心情を表しているような感じです。曲の中でまずルドルフお父さんの見事なキーボードソロがあり、続いてMonaちゃんのドラムソロになっていきます。繰り返しますが、このウイーンでのファーストライブでは彼女達はまだ13歳です。音楽や美術の表現力の基礎を培うにはやはり10代の頃からが肝心なのでしょう。
取り上げたらきりが無いほど素晴らしいライブビデオがあるのですが、やはりビートルズナンバーはどれも良い演奏ばかりで迷いますが、彼女たち自身がファンからのQ&Aでビートルズナンバーで何が好きかという問いにこの曲をあげていましたので聴いて下さい。リバプールのキャバーンクラブでのライブ演奏です。私も大好きなナンバーで、確か私が小学校6年生の時に上映された"HELP!"の中でレコーディングスタジオのシーンで演奏された曲でした。当時は海外の人気ミュージシャンの主演映画というものが結構あって、ビートルズの最初の映画"A Hard Day's Night"の他、エルビス・プレスリーやハーマンズ・ハーミッツの主演映画も上映され街の映画館に観に行きました。
MonaLisa Twinsとしての初期ビデオではアコースティックギターでの弾き語りが多く見られますが、大人になってからもそのスタイルでの演奏に傑出したものがあります。ひとつは"Morning Has Broken"ですが、私はこの曲はキャット・スティーブンスのオリジナルソングだと思っていましたが、今回調べてみると原曲は古いゲール語民謡をベースとした讃美歌だったそうです。1970年代にキャット・スティーブンスによりカバーされたものでした。こういうシンプルな曲ですとMonaLisa Twinsのボーカルもギターも並みの実力ではないことがわかりますね。
このビデオは多分、17歳前後の年齢だと思われますが、モナ&リサのように双子ではありませんが兄弟によるデュオ、エヴァリー・ブラザース(The Everly Brothers)のヒット曲です。そのハーモニーの美しさでビートルズやビーチボーイズ、サイモン&ガーファンクルなどに多大な影響を与えました。MonaLisa Twinsとしてはこの曲の他に" Wake Up Little Susie"をライブで演奏しています。17歳という年齢は子供と大人の中間点みたいなところですので、とてもフレッシュな感じでいいですね。
そしてもう一曲、ラジオ局でのぶっつけ本番でライブ演奏です。イギリス、スコットランド出身のドノバンが1965年にリリースした「キャッチ・ザ・ウィンド」。Lisaの歌唱力が際立ちますが、残念なのはビデオでは狭いラジオ局での演奏の為、Lisaは椅子に座ったまま後ろ姿しか映っていないことと、Monaが途中でゴホンと咳をしてしまう事です。でもそのかわり父親ルドルフ氏が撮った幼いころの二人のかわいい姿が編集されているのでほっこりした気分になれます。
数あるMonaLisa Twinsのミュージックビデオの中でもちょっと変わっているものがあります。イギリスのロックバンド、ザ・ホリーズ(The Hollies)が1966年にリリースした曲である"バスストップ(Bus Stop)"のカバーなのですが、モナとリザのやりたい放題の演技・演奏になっているものです。原曲には忠実なMonaLisa Twinsですが、日本のアニメであるドラゴンボールZでの"フュージョン"のポーズをしたり、かけ声勇ましくコサックダンス風になったりして、かなり楽しんでやっていますね。原曲は全英1位になった曲で、日本でもかなり人気が高かった曲でした。同曲のキャバーンクラブでのライブヴァージョンがあります。
Mona Lisa Twins - 'Bus Stop', Cavern Front, Liverpool 2014
monalisa twins ,bus stop/cant buy me love 2014.cavern pub
もうひとつ風変わりな曲のビートルズカバーがあります。1969年に発表されたアルバム『アビイ・ロード』に収録された曲、"マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー(Maxwell's Silver Hammer)"です。この曲は軽快で明るいメロディラインで英語が分からなければコミカルな曲かと思われますが、ポール・マッカートニーによる作詞では、銀のカナヅチで脳天直撃で何人もの人が即死するという恐ろしい内容となっているものです。イギリスの伝承童謡である「マザーグース」のような韻を踏んだ歌詞で残酷な表現となっているのです。「マザーグース」というと私が40年以上前に大学の卒業制作で作った絵本を思い出しますが、親友との協同制作で少部数しか印刷しなかったので私の手元には1冊しか残っていなかったのですが、最近ネットでまだ存在していることがわかり驚きました。また、この時、協同制作した親友はその後、全トランスフォーマーの真の創造神。ヨケトロン様こと、タカラトミーの餘家英昭(よけ ひであき)君となりました。
Mona&Lisaのこてこてのメイクでのパフォーマンスが続いたので、あっさりとしたかるーい乗りの曲をどうぞ。1966年にサイモン&ガーファンクルが発表した曲で"The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)"です。作詞・作曲はポール・サイモンで、アルバム『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』に収録された曲です。パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイムといえば"スカボロ・フェアー"の歌詞ですね。1967年のダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』の挿入歌として用いられ、世界的に有名になったものです。この映画を街の映画館に観にいったのは中学3年生の頃ではなかったかと思います。"サウンド・オブ・サイレンス"や"ミセス・ロビンソン"などの名曲が映画のサウドトラックとして使われていました。("ミセス・ロビンソン"をMonaLisaが16歳の頃演奏したビデオのリンクもどうぞ。)
カバー曲ではルドルフお父さんのウッドベースから始まりますが、このお父さんはいったいいくつの楽器が使いこなせるのだろうと思います。ギターやドラムはもちろん、キーボードなど凄いテクニックを披露しています。これほどの人ですから娘達も音楽のDNAを受け継いでいるのでしょうね。
カバー曲ばかり取り上げていては、MonaLisa Twinsの本当の素晴らしさが伝わりませんので、オリジナル曲をご紹介したいと思います。Lisaはワンダフル・クリスマスタイムでも弾いていましたがウクレレが好きなようで、この曲でも軽快な演奏をしています。Mona & Lisaの作詞・作曲・演奏による楽曲です。
もう一曲、ミュージックビデオがとても美しい楽曲です。前の曲もそうですが、イギリスの地方で撮影した映像を使っているようです。
オリジナル曲の中でも「これぞモナリザツインズ!」という曲のライブをお聴き下さい。ノリノリのロックンロールで自然に身体がリズミックに共鳴してしまいます。ふと気づいてみればMonaLisa Twinsとは50年待ってやっと現れたバンドではないかと思います。